全日が中長期ビジョン。社会課題への対応策示す

(公社)全日本不動産協会は19日、同協会および関連団体の中長期的な方針として「全日本不動産協会中期ビジョン―新時代の『豊かな生活』を支える産業であるために―」を公表した。

 全日では、1998年に立ち上げた研究プログラム「全日紀尾井町フォーラム」が、業界のあるべき姿について研究・提言している。しかし、2003年の最終報告以降、そうした業界への提言をまとめることはなかった。15年に現職の原嶋和利氏が理事長に就任した際、業界への提言を再度行なうべきとして構想を温めていたという。

 同協会では、ビジョン策定にあたって「短中期的な社会環境の変化」と「中長期的な社会環境の変化」の二軸を設定。「短中期」では、22年度までに起こる社会環境の変化を想定し、不動産業界が直面する課題として、少子高齢化と人口減少の進展、ICT・IoT・AI等技術の進展、空き家対策に収れんする住宅政策といった7項目を取り上げた。一方、「中長期」では、長期的にウォッチしていくべき社会環境の変化として、不動産関連政策と長期的な経済社会情勢、国による新たな不動産業ビジョンの作成を取り上げている。

 これらの課題に対して、一般会員を対象に行なったアンケート等で吸い上げた意見も加味し、具体的な行動指針である「アクションプラン」を策定した。短中期的には、「リバースモーゲージ、低所得者向け住宅ローン等」「事業承継マッチング」「観光推進機構との連携」「エリアマネジメントへの主体的な取り組み」「『全日空き家対策大全』とりまとめ」「不動産テック企業取り込み」「従業員満足度・定着率向上への具体的な方策」「経済情勢や市場の見通しの情報発信」という8つの具体策を盛り込み、今後検討していく。

 また、長期的なアクションプランとして、研究会等を立ち上げて定期的に課題を見直していくこととした。また、エリアマネジメント等をテーマにした地方レベルの研究会や不動産テックによる実務への効果検証を行ない、その成果を全国で共有するなど、新たなビジネスモデルの在り方も探る。このほか、会員のスキル向上やラビ―ネットの機能向上、倫理綱領の再検討などといったことについても実行に移していく。

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原嶋和利理事長を再任/全日が総会

(公社)全日本不動産協会、(公社)不動産保証協会は19日、ホテルニューオータニ東京(東京都千代田区)にて定時総会を開催。2018年度の事業報告・収支決算、19年度事業計画・収支予算等を報告したほか、改選期にあたり役員改選を実施した。

 両協会理事長の原嶋和利氏は、冒頭、「国土交通省から今後の不動産業の在り方を示した『不動産業ビジョン2030』が発表されたが、このたび当協会でも『中長期ビジョン』を策定した。ビジョンに基づいた具体的なアクションプランも付した。既存住宅流通活性化、所有者不明土地問題、テクノロジーの進化など、山積する課題にも対応していきたい」などと語った。

 また、役員改選で選ばれた新理事の互選により、現職の原嶋氏の理事長再任が決まった。原嶋氏は「新たな令和の時代を切り開いていく。さまざまな難局も待ち構えているだろうが、“全日は一つ”という思いで進んでいきたい」と抱負を述べた。

 19年度の事業計画では、組織増強を重要事項と位置付け、会員の経営環境サポートなど、会員支援事業部門の強化を進める。

都計法・建基法制定100年を記念、功績者を表彰

 都市計画法・建築基準法制定100周年を記念した式典が19日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催された。

 開会にあたり、主催者を代表して竹歳 誠実行委員会会長((公社)都市計画協会会長)が挨拶。「1919年の都市計画法、市街地建築物法公布から今年で100年。急激な人口増加に伴う都市化の中で美しい景観が失われていった。現在少子高齢化、人口減少が進んでいるが、人口増加の圧力から解放され、ようやく落ち着いたまちづくりができる時代を迎えたともいえる。今日が次の100年の出発点となる良き日となるよう祈念したい」と述べた。 

 続いて都市計画および建築行政の推進等に功績のあった個人・団体を表彰。都市計画で116人・22団体、建築行政で141人・14団体に対し、国土大臣表彰を実施。石井啓一国土交通大臣より感謝状が贈呈された。

 続いて、受賞者の一人である伊藤 滋氏(東京大学名誉教授、(一財)国土計画協会理事長)が登壇し、「万華鏡都市東京」をテーマに、2020年の東京に必要と考えられる都市計画の戦術について講演。郊外で人口が減少した地域の宅地の農地転用、区画整理をして宅地・農地をまとめて整備しダーチャ(郊外の菜園付きセカンドハウス)のある暮らしを実現する「園芸生活」の設定、屋並み・家並みをそろえることで、美しいまちを実現する「優良住宅地区」の創生など、東京をさらによい都市とするための自身のアイディアを紹介した。

 続いて、青山 佾明治大学名誉教授ら有識者による、「東京の都市づくり」をテーマにしたパネルディスカッションも開催された。

中期運営方針を中間報告/日管協

(公財)日本賃貸住宅管理協会は18日、2020年からの5年間程度を見据えた「中期運営方針」について中間報告した。

 社会構造・経済環境の変化、法制化の進展・規制の強化、業界の変化、関連ビジネス・技術の変化などの外部環境の変化が予想される中、持続可能な賃貸住宅管理業の実現を目指し、今後の運営方針をまとめている。

 業界を牽引する存在として認識されることを目指し、賃貸住宅管理業者登録制度の法制化への協力と支援を継続して実施。また、会員企業の事業支援の強化、中堅規模の会員企業へのサービスの提供にも努める。ブロックと支部のあり方を見直し、地方の協会活動のさらなる活性化も促進。理事の流動性を高める仕組みを導入するとともに、会費等の財源面のあり方を検討するなど、次世代を見据えた協会組織の改革も推進する。

 現在、国土交通省「不動産業ビジョン2030」等を踏まえつつ、「中期運営方針策定特別委員会」を中心に方針をまとめており、今後も引き続き検討を進め、方針を固めていく。

空き家対策の担い手強化事業の提案募集開始

国土交通省は20日、全国の空き家対策の加速に向けた支援制度「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」の提案募集を開始した。

 支援対象の事業は(1)人材育成と相談体制の整備、(2)共通課題の解決の2部門。(1)では、空き家対策に関する相談にワンストップで対応できる人材の育成や、地方圏での専門家と連携した相談体制の構築、(2)では空き家発生の抑制や除却・利活用といった共通課題におけるケーススタディや全国の取り組み事例の情報共有に対して支援する。

 支援対象の事業主体は地方公共団体や民間事業者等。地方公共団体と専門家等が連携して事業を実施し、成果を広く公開することが要件となる。

 応募期限は6月19日18時必着。詳細については評価事務局((株)価値総合研究所内)のホームページを参照。学識経験者等で構成する評価委員会の評価を踏まえ、7月頃に採択事業を決定する。

令和元年春の褒章、不動産関係は9人が受章

国土交通省は20日、「令和元年春の褒章受章者」の同省関連受章者(49名・7団体)を発表した。

 不動産関係の主な受章者は、以下の通り(敬称略)。

 黄綬▼新居常男((株)メッセンヂャー代表取締役、元(公社)東京都宅地建物取引業協会副会長)▼岡本 修((有)赤坂不動産代表取締役、(一社)千葉県宅地建物取引業協会副会長)▼草間時彦((有)セントラル・ホームズ代表取締役、(公社)神奈川県宅地建物取引業協会副会長)▼柴田茂德(藤榮住建(株)代表取締役、(一社)兵庫県宅地建物取引業協会副会長)▼橋場 寛((有)橋場不動産取締役、(公社)全国宅地建物取引業保証協会常務理事)▼原 勝博((有)平成不動産代表取締役、(公社)全日本不動産協会理事)▼村上裕二(要宅建代表者、元(一社)熊本県宅地建物取引業協会副会長)▼山野井 正郎((株)山野井代表取締役、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会理事)▼橋本大輔((株)ファミリー社長、(一社)全国住宅産業協会理事)

 伝達式は、30日午前11時から、同省10階共用大会議室で行なわれる。

放置予想される土地の管理でとりまとめ

国土交通省は20日、国土審議会計画推進部会国土管理専門員会の2019年におけるとりまとめ「将来的に放置されていくことが予想される土地の管理のあり方」を公表した。

 同専門委は16年9月に設置。国土形成計画の推進に関して、人口減少期における持続可能な国土の利用・管理を進めるための方策の在り方について検討している。

 今回のとりまとめでは、ケーススタディーで得られた知見やこれまでの専門委員会での議論をもとに整理。「放置以外の選択肢を選ぶことが困難な土地が多数存在するエリアが多い」という問題意識を持ち、将来的に放置されることが予想される土地の管理の在り方を示した。

 その上で、持続的な土地の管理の在り方検討のフローを示した。持続的な土地の管理について、将来的に現状の管理方法を断念する場合、放置することによる地域への悪影響を検証。それが無視できないほどに大きい場合は放置せずに何らかの新たな管理方法を検討し、無視できるレベルに小さい場合は必要最小限の管理にとどめるという選択肢も提示する。担い手不足など、管理の継続が難しくなった場合に備え、複数の管理シナリオを用意するべきだとした。